アローバックベンチ

松本民芸家具のアローバックベンチです。まだ日本が、古い民家で暮らし、畳と座卓の生活が当たり前だったころに欧米の家庭で使われていた家具のデザインを踏襲し、当時衰退しつつあった全国でも有数の家具生産の伝統ある松本の地で、高度な和家具の技術を持つ松本の職人に作らせた家具が松本民芸家具です。

 

 

松本の家具の歴史は古く300年以上の歴史を有しており、大正末期には日本一の和家具の生産高を誇ったほどですが、戦後その衰退は著しく、柳宗悦がその状態を直接訪れ、大変それを借しんだようです。民芸運動の一躍として、松本の伝統ある工芸の現状回復を切望し、昭和23年採算度外にして、家具製作に取り掛かったのが始まりです。


デザインについては、長い歴史の中で多くの人々に研ぎ澄まされ、また愛されつづけてきた東西の伝統的デザインを尊重し、その習作をかさねながら現代生活に即した形で形成しています。


そして現在、そのバリエーションはレギュラー製品だけで800種、それに関連した製品まであわせると2000種を数えます。
3人掛で使用頂けるほどの大きなサイズの背凭れ付のベンチは、アメリカのキッチン椅子を模倣し、制作されたベンチとなっています。昔からある古いカタログには掲載されていますが、松本民芸家具というとウィンザーチェア(イギリス)や李朝棚(朝鮮)の型のイメージもあると思いますが、国籍を超えた当時の家具製作への情熱を感じられずにはいられません。

 

<スピンドルの部分を弓矢に見立てたデザインとなっています。>

<ラッカー塗料で何度も塗りこんだことで、光沢ある艶のある椅子が生まれます。>

<厚みのある座面に栃材を用いて柔らかさと軽さを実現しています。>