前野さんは、今の南丹日吉から、美山に場所を移されます。美山は南丹から約40分ほど北にあがったところにあり、かやぶきの里と呼ばれる景観の美しい茅葺屋根の建物が並び、里山が広がる場所です。
数年前にトタンを被せていた屋根が台風で飛んでしまったそうで、どうせ改修して住むなら、一層費用をかけてでも茅葺に葺き替えをしたいと決心し、屋根を一から直したそうです。本当大変な作業と費用だと思います。
現在、前野さんは窯を二つ使いながら、焼き物を作っています。
左右に二つ窯が並んでいるのですが、まず左の窯は、立杭の窯のような傾斜を活かしたカタチにしたいと築窯しました。窯の中は通常の近代的な窯と比較すると、少し湿度を保ち焼成するとのこと。
蛇窯ではなく、立杭の穴窯に近いです。
右の窯は現代の焼き物を作るのに適した、湿度の無い、焼成の効率が高そうな現代の登り窯です。
殆どの陶器は、右の窯を使用して作りますが、立杭ならではの昔の窯も新たな場所でも作りたいそう。
修行された丹波立杭も、昭和中期までは茅葺の民家が点在しており、美山に移る理由も、なんだかその当時の風景に恋い焦がれているのようにも感じました。なんせロマンチストなんで。